BOOK のアーカイブ


優しい大人
桐野夏生

読売新聞の土曜小説で連載されていた作品。
なんというか、かなり残念な内容。
良い感想はどこにもなかったので省きます。
挿絵のイラストからして怪しい感じはしてたんだけどなぁ..まあいいけど。

やはり先生には、ドロドロの暗黒トランスを望みます。


マリカの永い夜(1994)
吉本ばなな

多重に重なった人格はどこからくるのか。いつか人格が統合されたとき、その魂たちはどこへゆくのか。元精神科医であるジュンコと、その元患者であり多重人格症のマリカ。旅先のバリ島の聖域で起こった美しくやさしい物語。短い話ですが、丁寧で繊細な言葉遣いと表現力に、バリの神聖な空気を感じた。


I STAND HERE FOR YOU
すべてのものは 小さく小さく小さくしていくと
クオークという物質になり
この世界の中で、クオークの総数は一定で
増えも減りもしない
幾千年前に死んだ恋人のクオークのひとつが
あなたの体の中に含まれていることだってある
孤独でも、一人きりなわけじゃない


リアルワールド
桐野夏生

「取り返しの付かないこと」というのは、永久に終わらなくてずっと心の中に滞って、そのうち心が食べ尽くされてしまう怖ろしいこと。「取り返しの付かないこと」を抱えた人間は、いつか破滅する。


告白
湊かなえ

「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」
我が子を校内で亡くした中学校の女性教師、森口によるホームルームでの告白から、この物語は始まる。
名前は伏せ、クラス全員の中にいる少年Aと少年Bに向けてホームルームはつづく。
実は愛美のお父さん(森口の夫)はHIV感染していて、それを理由に別れてしまっていたこと。愛美が死んでから一緒に生活するようになったこと。
そして森口は言う。
「自分の旦那から血液を貰って犯人A.Bの牛乳の中に入れました。発症まで5年から10年かかりますから、その間に命の重さを感じてもらいたい」

自分が担当するクラスの生徒に愛美を殺され、森口はふたり(少年Aと少年B)を激しく憎む。
しかし、ふたりは少年法に守られる年齢である。そこで法に委ねることなく、自分自身で彼らを裁こうとする、私刑の話。とても読みやすく面白い内容。ただ前半の先生の告白から盛り上がり、少年たちの告白、その母親の告白と続いてゆき、最終、マザコンとモンスターペアレントといった家庭内の問題に縮小、というか収まってしまった点が残念でした。


南くんの恋人
内田春菊

ある日、突然小さくなってしまった「ちよみ」と南くんのSFファンタジー。
「ちよみ」の身体が一生このままなのか、と未来への思考を促しながら同棲をする二人。現実に置き換えると、「ある日、突然彼女が自分ひとりでは生活出来ない身体になってしまった」という、とても重く暗いテーマ。リアルな人間の男女の共同生活があり、衣食住がままならない小さく弱い存在の「ちよみ」を一生懸命に養育しようとする南くん。ゆるい絵のタッチと「ちよみ」の直向きな明るさがあって、すごく良いバランスの雰囲気、というか暗すぎるテーマをうまく和らげているのだが、それが逆にもの悲しさをかき立てることでもある。そして、いつか南くんは「あの日々は何だったんだろう」と、たまに泣いたりして暮らしていく、甘くなくて深い恋愛物語。

正直舐めてたけど、心に残る名作です。
100円くらいで中古本売ってます。


夜明けの街で
東野圭吾

渡部の働く会社に、派遣社員の仲西秋葉がやって来たのは、去年のお盆休み明けだった。僕の目には若く見えたが、彼女は31歳だった。その後、僕らの距離は急速に縮まり、ついに越えてはならない境界線を越えてしまう。しかし、秋葉の家庭は複雑な事情を抱えていた。両親は離婚し、母親は自殺。彼女の横浜の実家では、15年前、父の愛人が殺されるという事件まで起こっていた。殺人現場に倒れていた秋葉は真犯人の容疑をかけられながらも、沈黙を貫いてきた。犯罪者かもしれない女性と不倫の恋に堕ちた渡部の心境は揺れ動く。果たして秋葉は罪を犯したのか。まもなく、事件は時効を迎えようとしていた・・・。

前半はバブル期の不倫恋愛小説。クリスマスだとかバレンタインだとか何かにつけ不倫相手と会いたがる幼稚な内容。肝心のミステリー部分には意外性は無いです。ミステリーって言うかそういう要素を含んだ時代遅れのペラッペラの不倫ドラマって感じ。完全なる駄作です。帯も広告も詐欺レベル。
金返せコノヤロウ。ヽ(`Д´)ノウワァァァン!

ちなみに元ネタはサザンオールスターズ

LOVE AFFAIR 〜秘密のデート

夜明けの街ですれ違うのは
月の残骸と昨日の僕さ
二度と戻れない境界を越えた後で
嗚呼この胸は疼いてる

振り向くたびにせつないけれど
君の視線を背中で受けた
連れてかえれない黄昏に染まる家路
嗚呼 涙隠して憂う Sunday

君無しでは夜毎眠らずに
闇をみつめていたい

マリンルージュで愛されて
大黒埠頭[だいこくふとう]で虹を見て
シーガーディアンで酔わされて
まだ離れたくない 早く去かなくちゃ
夜明けと共にこの首筋に夢の跡

愛の雫が果てた後でも
何故にこれほど優しくなれる
二度と戻れないドラマの中の二人
嗚呼 お互いに気づいてる

棄ても失くしも僕は出来ない
ただそれだけは臆病なのさ
連れて歩けない役柄はいつも他人
嗚呼 君の仕草を真似る Sunday

好き合うほど何も構えずに
普通の男でいたい

ボウリング場でカッコつけて
ブルーライトバーで泣き濡れて
ハーバービューの部屋で抱きしめ
また口づけた
逢いに行かなくちゃ
儚い夢と愛の谷間で溺れたい

マリンルージュで愛されて
大黒埠頭(だいこくふとう)で虹を見て
シーガーディアンで酔わされて
まだ離れたくない 早く去かなくちゃ
夜明けと共にこの首筋に夢の跡
だから愛の谷間で溺れたい
Oh…


ソロモンの犬
道尾秀介

さっきまで元気だった陽介が目の前で死んだ。大切な人たちを喪った夏。
幼い友人・陽介の飼い犬に引きずられての事故。
しかし、その死は本当に事故なのか?愛犬はなぜ暴走したのか?
動物と話すことができる「ソロモンの指輪」があれば..

しかしその裏に書かれてあるのは、動物よりも、人間同士のコミュニケーションの難しさ。
読みやすくはあるものの、決定的なパンチ力に欠ける内容でした。
登場人物の年齢が若いと感情移入できないな。
繋ぎとしては良かったです。